主催:アース製薬株式会社 共催:朝日新聞社メディアビジネス局
忽那 賢志(くつな・さとし)先生国立国際医療研究センター 国際感染症センター 国際感染症対策室 医長
地球温暖化によって蚊の活動領域や活動期間が広がり、蚊が媒介する感染症も世界中で広がっています。
日本でも流行したことのある蚊媒介感染症「デング熱」は、潜伏期が1週間弱。発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状が見られ、熱が出るころに発疹が出ることがあります。1回目の感染より2回目の方が重症化してデング出血熱になりやすく、2回目は100倍重症化しやすいという報告もあります。
「ジカウイルス感染症(ジカ熱)」は、リオデジャネイロ五輪の時にブラジルで流行して注目されました。今もアジア、中南米で症例が報告されています。これも蚊媒介感染症ですが、時に母子感染、輸血、性交渉などでも感染することがあります。
国内で感染するダニ媒介感染症の中で、ツツガムシ病、日本紅斑熱は特に感染者数が多く、年間400〜500例ほど報告されています。どちらも発熱、頭痛、関節痛、皮疹が出るのが特徴です。登山などでツツガムシやマダニがいるような所に行った後、熱やブツブツが出るようであれば、早く病院を受診してください。
「重症熱性血小板減少症候群」(英語の頭文字をとって「SFTS」)もマダニから感染します。現在年間80例程度報告されていますが、怖いのは抗生物質が効かず、致死率が非常に高いことで、致死率は最大30%といわれています。日本では西日本に偏っているのが特徴で、これはダニがウイルスを持つ保有率の違いに起因するものと思われます。
これらの感染は、マダニだけでなく、ペットのネコや動物からの感染事例も報告されていますのでご注意ください。
虫が媒介するウイルス感染症を予防するには、まず蚊やダニに刺されないことが大切です。山歩きなどをする場合は、ディートなどを含む虫よけ剤をしっかり塗っていただくということが重要です。