主催:アース製薬株式会社 共催:朝日新聞社メディアビジネス局

アース虫ケアセミナー2019アース虫ケアセミナー2019

2019年 採録(過去に開催したアース虫ケアセミナーの採録です)

虫はともだち! 毒虫だってこわくない!?

夏秋 優(なつあき・まさる)先生50種類以上の虫に刺された皮膚科専門医

五箇 公一 先生

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校皮膚科研究員を務め、大阪府済生会吹田病院皮膚科の医長などを経て2000年より兵庫医科大学皮膚科学准教授。著書に『Dr.夏秋の臨床図鑑虫と皮膚炎』(学研メディカル秀潤社)など。NHK「ガッテン!」(5月22日放送)などテレビ出演も多数。

この地球上には、どれくらいの虫たちが生きているのでしょうか。昆虫だけでも、ざっと100万種類もいるんです。それに対して、人間は(生物学上)たったの1種類。人間は虫から被害を受けると「害虫だ」と駆除しがちですが、人間と同様にこの地球に生きる無数の虫たちからすれば、人間の方がとてもやっかいな存在といえるかもしれません。

虫に限らず、生物は二つの大きな目的を持っています。自分の命を守ることと、自分と同じ遺伝子を後世に引き継ぐことです。外敵から身を守るために、ある虫は色や形を木の葉に似せ(保護色)、ある虫は目玉のような模様(警戒色)で外敵を追い払います。そして異性と出会うためにフェロモンや特別な信号を出すなど、様々な工夫をして子孫を残そうとします。虫たちの様々な活動は、彼らなりの使命を果たそうとする営みなのです。

虫たちの営みを知ろう

だからこそ、私たちはむやみに虫を怖がるのではなく、彼らを理解し、気をつけるべきことと放っておいてよいことを区別しなければなりません。例えば、蚊やマダニなどは産卵のために血が必要なのですが、刺されると感染症を引き起こしたり、かゆみを生じたりします。かきむしると傷ができ、ばい菌が入ればさらに症状が悪化することもあります。吸血の被害を受けないためには虫よけ剤が有効です。塗りムラがあれば、蚊などは必ずそこにやってくるので、ムラなく塗ってください。

スズメバチなどの蜂は二度以上刺されると全身性の激しいアレルギー症状(アナフィラキシー)を引き起こすことがあります。蜂がなぜ人を刺すかといえば、それは子育てをしているから。巣にはたくさんの幼虫がいて、人間が巣に近づいたり刺激したりすると、蜂は子どもを守ろうと必死になるのです。私たちは普段からどこに蜂の巣があるかを把握し、むやみに巣に近づかないようにしなければなりません。

虫たちはそれぞれ懸命に生きています。彼らの営みを理解し、私たちにとって怖い虫は何かや、どこでどんな被害に遭うか、その対策などを正しく知れば、虫たちと仲良く共生できると思うのです。

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